葬儀の形式を考える上で、「骨葬」という言葉を聞く場合は多いと思います。
馴染みのない「骨葬」に対して上記のような悩みをあなたはお持ちではないでしょうか。
「骨葬」にはしっかりとした意義やマナー、独特な特徴があります。
あなたも要望が「骨葬」と合っているのか見極めないと、トラブルや後悔の残る葬儀をしてしまう場合があります。
こちらの記事ではあなたがそのような思いをしないように、
概要からメリット・デメリット、マナーから進めるコツまでの「骨葬」の全てを記載します。
こちらの記事を読むことによって、「骨葬」という葬儀の形式を正確に把握でき、あなたが「骨葬」を選ぶ場合にはどのように進めれば良いのかがわかるようになります。
1.骨葬の概要
ここでは、骨葬の概要を解説します。
具体的には、意味や定義、骨葬の流れや相場について示していきます。
1-1. 骨葬は「遺骨で葬儀をする」つまり火葬をしてから葬儀をするという意味
火葬を行ってからお葬式を営む形式を骨葬といいます。
お葬式のときには、骨壺を祭壇に祀ることになるため、「骨」葬と呼ばれます。
骨葬を行うのは、東北地方を中心とした10数県です。
同じ県でも、内陸部では骨葬を行い、海側では葬儀を先に行うなど、風習に違いがみられます。
ちなみに、骨葬を主に行う地域では、「骨葬」という呼び方をあまりしません。
自分たちが通常行っている形式なので、特別に名前を付けることはしないのです。
かわりに、骨葬を行う地域では、火葬よりも葬儀を先に行う葬儀のことを「生葬」(なまそう)と呼ぶことがあります。
生身の身体のまま、お葬式をするからです。
1-2. 骨葬の具体的な流れ
葬儀を先に行う形式に慣れていると、骨葬に立ち会う場合には戸惑ってしまうかもしれません。
骨葬の具体的な流れを紹介しましょう。
骨葬を行う際の葬儀の一連の流れは、下記になります。
- 祭壇、遺影、棺の準備
- 納棺
- 通夜の準備•通夜
- 火葬
- 収骨
- 骨葬
- 還骨法要
- 精進落とし
以上のように、一般的な葬儀と流れが違うのは、お葬式当日のみです。
また、骨葬の儀式の流れは下記になります。
- 僧侶入場
- 開式の辞
- 読経•引導
- 弔事
- 焼香
- 僧侶退場
- 閉式の辞
以上のように、骨葬の儀式の流れは一般的な儀式と変わりません。
ただ、弔辞を読んだり、僧侶が引導を渡したり、焼香をする対象が、遺体ではなく遺骨となるだけです。
1-3. 骨葬の費用は一般的な葬儀と大して変わらない
骨葬の費用は、一般的な流れのお葬式と大して変わりません。
葬儀費用は人数により大きく変わりますが、広く会葬者を呼ぶ一般葬であれば200万円弱、親族のみの家族葬なら70万円から100万円程度が相場です。
ただ一点注意が必要なのは、骨葬の場合、費用が葬儀社の言い値で決まり高くなってしまう可能性が高いです。
理由と対処方法に関しては下記の3章「骨葬を選ぶ際の注意点・コツ」で詳細を説明してますので是非確認してください。
2. 骨葬のメリット・デメリット
こちらでは骨葬のメリットとデメリットを解説したうえで、骨葬と相性のいい人について考えていきます。
2-1. 骨葬の3つのメリット
骨葬のメリットは、3つ挙げられます。それぞれみていきましょう。
骨葬の3つのメリットその1
火葬の日とお葬式の日を分けることができる
骨葬であれば、お葬式の日にはすでに遺骨になっているため、急いでお葬式をする必要はありません。
午前中、火葬場が混んでいれば、午後に火葬として、次の日に改めてお葬式を行うことが可能です。
なお、骨葬の場合、お葬式は火葬の次の日までに行うべきとも限りません。
49日に合わせてなど、ゆっくり準備をしてからお葬式に臨むこともできます。
骨葬の3つのメリットその2
一般的な流れの葬儀が主流の地域では火葬予約しやすい
葬儀をしてから火葬をする、一般的な流れの葬儀が主流の地域では、午前11時から午後1時ごろまで、最も火葬場が混みあいます。
午前中にお葬式をし、スムーズに火葬へ移行するためです。
一方、骨葬を選べば、火葬は午前中の早い時間に行うことになるため、火葬場が比較的空いている時間帯を選べます。
骨葬の3つのメリットその3
お葬式をする会場の幅が広がる
お葬式を行うべき場所は、自宅や葬儀ホール、公民館、お寺などに限定されているのが現状です。
これは、遺体を持ち込める場所が限られているからこそといえます。
つまり、骨葬であれば、とくに49日に合わせてなどゆっくり準備できる場合には、会場の幅が広がるということです。
遺体はNGでも、遺骨であればOKというホテルはあります。「お別れの会」を営んでいるようなホテルです。
その場合、お経を読んだりお線香をあげたりすることは難しいですが、無宗教葬であれば、問題なくできるでしょう。
2-2. 骨葬の3つのデメリット
骨葬のデメリットは、3つ挙げられます。それぞれみていきましょう。
骨葬の3つのデメリットその1
お葬式に駆けつけた人が最後に顔を見れない
とくに一般的な流れの葬儀に慣れている人の場合、「お葬式にさえ行ければ、お顔を見てお別れできる」という考えの人が多いものです。
しかし、骨葬は先に火葬してしまうため、お葬式にだけ出ても顔を見ることはできません。
骨葬の3つのデメリットその2
参列者への説明に時間がかかる
お知らせ状をもらった参列者からは、「火葬が先なの?印刷ミスではないの?」と、問い合わせがあるかもしれません。
なお、一般的な流れに慣れている親族からは抵抗があることが予想されます。
慣れない形式を選んだ理由を説明したり、火葬が先で間違いないと問い合わせに答えていると、ただでさえ少ないお葬式までの時間があっという間に過ぎていきます。
骨葬の3つのデメリットその3
僧侶が納得しない可能性がある
普段、お葬式のときには遺体に向けてお経を唱えている僧侶からは、「遺骨に向けて引導を渡すなど考えられない」と反対があるかもしれません。
儀式を営む中心人物は僧侶なので、喪主側が引き下がるしかないケースもあります。
2-3. 骨葬と相性がいいのはこんな人
メリットとデメリットを総合して考えると、
骨葬と相性がいいのは、次のような人です。
- 無宗教葬を希望している
- 参列者が少なく、説得する対象の親族も少ない
- ゆっくりとしたお別れがしたい
- 火葬場が混みあいがちな都心部にいる
- 骨葬がメジャーで時はない地域で、菩提寺が由緒正強い
- 昔ながらのお寺
- 参列者が多くなることが考えられる
- 最後に顔を見せたい親族がかなり遠くにいる
つぎに、骨葬を選ぶときのコツをご紹介します。
3.骨葬を選ぶ際の注意点・コツ
こちらの記事では骨葬を選ぶ際の注意点・コツを紹介します。
3-1.骨葬の費用は葬儀社の言い値で決まる
他の葬儀の形式も同じことは言えますが、特に骨葬の費用は葬儀社の言い値で決まってしまいます。
理由としては骨葬を行う葬儀社が東北地方で限られており、価格競争が起こりにくいためです。
一般葬や家族葬、直葬等は「シンプルなお葬式」や「小さなお葬式」のように定額サービスが全国に普及しており、
葬儀費用の相場は決まりつつありますが、骨葬はまだまだ葬儀社の言い値によって決まります。
対処法としては紹介されたり、自分が知っているという理由だけで決定せず複数の葬儀社を比較することです。
3-2.骨葬を選ぶ際は必ず複数の葬儀社を比較
特に葬儀社の言い値で費用が決まってしまう骨葬は、全く同じ内容でも葬儀社によっては100万円単位で差額が発生することがありえます。
元葬儀人の私も数多くそのような現場を見てきました。
必ず複数の葬儀社を比較して納得した状態で、どの葬儀社に依頼するかは決定しましょう。
葬儀社の比較対象を増やす方法としておすすめできるのが、「葬儀レビ」になります。
元葬儀人が胸を張ってオススメできる安心サービスはこちら。
葬儀レビに関してより詳細を知りたい場合はメリット・デメリットや利用時の注意点を記載してますので、下記記事を参考にしてください。
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では実際に骨葬に関わる際のマナーを紹介します。
4. 骨葬を開く、参列する、参列しないときのマナー
ここでは、骨葬のマナーについてお伝えします。
開く立場のマナー、参列する場合のマナー、参列しない場合のマナーまで、幅広くご紹介していきます。
4-1. 開く立場のマナー
骨葬を開く場合には、次の4つのマナーをとくに守りましょう。
告知方法:骨葬の一番のキモは、知らせです。火葬が先であり、お葬式が後であることをしっかりお知らせ状に明記しましょう。「顔を見たい人は、通夜に参列を」と一言添えるのが大事です。
お香典:御香典を辞退する場合には、お知らせ状にしっかり記載しましょう。
喪服を着る:骨葬でも、服装は一般的な流れの葬儀と同じです。喪服を着て臨みましょう。
僧侶への配慮:「火葬が先」としたいがどうかと僧侶にお伺いをたてましょう。もしも抵抗を示したら、例えば火葬前、出棺時に引導を渡してもらい、お葬式は無宗教の「お別れ会」とするなどといった提案をし、歩み寄りを図りましょう。
4-2. 参列する場合のマナー
骨葬に参列する立場においては、次の3つを守りましょう。
お香典:お知らせ状をしっかり確認し、香典辞退の場合は準備をしてはいけません。もし何も記載がないときだけ、香典を準備しましょう。
喪服を着る:一般的な流れの葬儀と、服装は変わりません。喪服を着ましょう。
参列のタイミングは慎重に:最後にお顔を見たい場合は、遺族に許可を得て納棺時から出棺前までの間に参列しましょう。
4-3. 参列しない場合のマナー
骨葬に参列しない場合は、次の4つのマナーを守りましょう。
弔問・お悔やみ:弔問やお悔やみの電話は、葬儀が一通り終わってからにしましょう。
お香典:お香典は、辞退していないかを確認してから準備するようにしましょう。
弔問時の服装:葬儀が終わってからの弔問時の服装は、喪服でなくて構いません。地味な服装にとどめましょう。
5.まとめ
以上大きく下記4点を紹介して参りました。
- 骨葬の概要
- 骨葬のメリット・デメリット
- 骨葬を選ぶ際のコツ・注意点
- 骨葬のマナー
繰り返しになってしまいますが、
- 無宗教葬を希望している
- 参列者が少なく、説得する対象の親族も少ない
- ゆっくりとしたお別れがしたい
- 火葬場が混みあいがちな都心部にいる
なお、骨葬は葬儀社の言い値で費用が決まってしまうために「葬儀レビ」等で必ず複数の葬儀社を比較するようにしましょう。